テクニカル分析で探る今後の中長期為替相場動向

メリマンレポート

中国、インフレ上昇、金利上昇

中国人民銀行(中央銀行)は7月7日付けで主要政策金利を25bp引き上げると発表した。これにより1年物貸出金利は6.56%、1年物預金金利は3.50%となった。同国では、金融政策運営でインフレ抑制を優先する考えを継続していることを意味する。今回の金利引き上げは今年3回目となり、本格的な金融引締めに転換した昨年10月以降では5回目となる。人民銀行短期証券の利回りが引き上げられていたことや、6月消費者物価指数(CPI)の発表を控え、上昇リスクを織り込んでいたと考えられる。

 

9日に中国国家統計局が6月CPIを発表したが、前年比6.4%と市場予想6.2%より強く、前回(5月)の5.5%を大幅に上回る結果となった。今回の結果は、2008年6月の7.1%以来、3年ぶりの強い結果となったが、中国の食卓には欠かせない豚肉が6割近く値上がりするなど食品を中心としたインフレ圧力は収まる気配を見せていない。豚肉の上昇には、えさ代や人件費の上昇に加え、一部地域で豚特有の病気が流行し供給量が落ち込んだことが理由とされている。ただ理由はどうであれ、食品価格の上昇は所得の少ない庶民の生活を直撃しており、中国政府はインフレ率の上昇が同国民の社会不安を高めることを非常に警戒している。また、6月の生産者物価指数の前年比でも7.1%と市場予想6.9%よりも強く、前回(5月)の6.8%を上回る強い結果となった。高騰していたNY原油先物価格では、1バレル90ドル台に低下し落ち着きを見せているが、非鉄金属などは価格の上昇が止まっていない。

 

ただ、年後半はこれまでの要因が落ち着けば、インフレの上昇圧力は収まり徐々に鈍化するとの見方もある。度重なる利上げで同国景気は減速感も出始めている。7月のCPI上昇率は6月よりも高まる公算が大きいものの、7月のCPIをピークに8月以降は鈍化するとの見方が某外銀筋からコメントされた。また、25bpずつの小刻みな利上げは徐々に同国景気を冷まし始めている。6月の製造業購買担当者景気指数(PMI)が3カ月連続で前月の水準を下回り2年4カ月ぶりの低水準に落ち込んでいる。年後半に物価が落ち着くとの思惑と相まって、年内の追加利上げ期待が浮き沈みしている。

 

ただ、今週水曜日に発表された同国の経済指標(6月鉱工業生産、実質GDP、小売売上高)が殆ど市場予想や前回を上回る強い結果となったことから、追加利上げの打ち止め期待も後退せざるを得ない。また、預金金利がCPI上昇率を下回る実質マイナスの状態が解消していない。実質金利がマイナスのままでは、預金をしてもお金の価値が目減りする。そのため企業や個人は預金よりも消費にお金を振り向け需要が拡大し、インフレ率は上昇することになる。インフレ抑制には預金金利の実質マイナスの解消が先決ともいえる。

 

為替市場では、中国当局がインフレ抑制策を強化するとリスク資産の需要が後退する。さらに、欧州の債務危機の問題もあり、豪ドルやNZドルの上昇圧力は後退することに繋がる。


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